家づくりコラム5|耐震と断熱-家の性能を考える

家づくりを進めていくと、「耐震等級」「断熱等級」「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」といった言葉に出会うでしょう。
こうした性能の話になると、専門的で難しく感じる方も多いかもしれません。

けれど、性能は暮らしの安全と快適さに直結します。
家は完成した瞬間が終わりではなく、何十年にわたって住み続けるもの。
地震も台風も、近年の気候変動も、日本の住環境はリスクと隣り合わせです。
そのため、構造や断熱といった「目に見えない部分」に目を向けることも大切です。

「耐震等級」や「断熱性能」は、安心の目安となる基準です。
数字の意味を知ることが、「選ぶ」ことへの第一歩になります。

住宅性能表示制度では、新築の場合10分野にわたって性能が評価されます(耐震性・防火性能・耐久性・断熱性・換気・採光・遮音・バリアフリー・防犯)。

その中でも「耐震性能」と「断熱性能」は他の性能に比べて選択の幅があり、どこまで備えるべきか悩む方が多いのではないでしょうか。

耐震等級について

耐震等級は建物の地震に対する強さを示す指標で、1〜3の3段階あります。

「等級1」は建築基準法で定められた最低限の基準で、「数百年に一度規模の地震(震度6強〜7相当)で倒壊しない」レベルです。
「等級2」は「等級1」の1.25倍、「等級3」は等級1の1.5倍の地震の力に耐えられるよう定義されています。

耐震等級は建主が希望の等級を設定することができ、建築会社はそれを設計に反映させます。
また耐震等級を取得すると、等級が高いほど地震保険料の割引率が高くなります。
ただしここで注意したいのは、等級3であっても「大地震の際に倒壊はしない」が、一定の損傷が生じる可能性はあるということ。
どんなに性能を高めても、100%の安全はありません。
ただそれは諦めることではなく、リスクを知った上で「どこまで備えるか」を判断するための基準です。

断熱等級について

断熱性能は等級1〜7まであります。
「UA値(熱の逃げやすさ)」と「ηAC値(日射熱の入りやすさ)」という数値を用いて、地域ごとに満たすべき基準値を基に、各家の断熱性能を評価します。
断熱性能を上げることで、光熱費の削減、室内環境の改善、ヒートショックのリスク低下といったメリットがあります。
また、省エネ性能の高い家は補助金や税制優遇の対象になることがあります。

たとえばZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)や省エネ基準適合住宅は補助金の対象となるケースがあり、住宅ローン控除も断熱等級によって控除額が変わります。ただし制度は年度ごとに変わるため、計画時に最新情報を確認することが大切です。


性能にかけるコストは建築費用だけで判断せず、補助金・控除・光熱費の削減分も含めてトータルで見ると、判断材料が増えます。

性能の基準は「こうすべき」にあるのではなく、「選ぶための目安」です。

住んでいる地域の気候やハザードマップ、家族の価値観、家にかけられる予算――答えはひとつではありません。
なぜその性能を選んだのか、自分たちで納得できていることが大切で、曖昧なままより「知った上で決めた」の方が、長く住む家への満足感が違います。プロの力も借りながら、自分たちの「安心のライン」を決めてください。

家のかたち、土地、お金、パートナー、そして性能。
どこから始めても、最終的にはいつも同じ問いに戻ってきます―「自分たちは何を大切にしたいのか」。
この5回のコラムを通じて、その問いと向き合うための手がかりになっていれば嬉しいです。