家づくりコラム3|誰と読み解くか ― パートナー選びという視点

前回は土地の読み解き方について取り上げました。
今回は、「誰と読み解くか」について考えてみたいと思います。

家づくりは時間がかかるものです。
土地を決め、間取りを考え、予算を検討し、素材を決める。
完成したら終わりではなく、そこから暮らしも住まいも育てていく。
一生続く、長い旅のようなものです。
その道のりを共に歩む「パートナー選び」はとても大切なポイントです。

家づくりは、多くの場合「誰か」と一緒に進めていきます。
その土地の持つ魅力をどうやって最大限に活かしていくかは自分たちの考え方で決まる部分もありますが、「誰と一緒に考えるか」 によっても変わります。

パートナーを選ぶとき、まず気になるのは「実績」「価格」「性能」「デザイン」ではないでしょうか。
もちろんこれらも大事なことですが、実際に家づくりを進めていくと、「相性」がとても大きな影響を与えていることに気づかされるでしょう。

では「相性」はどのように判断していけばよいのでしょうか。

・本音が言えるか
・一緒に考え、整理してくれるのか
・自分たちのペースを尊重してくれるのか

・相手の言っていることが理解できるのか
・質問に答えてもらえるのか
・納得のいく提案や意見をもらえるのか

依頼する方もされる側も、安心して伝えたいことを伝えられる。
そうして前に進んでいくことができる。
小さくても互いにこうしたコミュニケーションを積み重ねていける関係であることが、後の満足に繋がっていきます。


では、具体的にどのようなパートナーがいるのでしょうか。
おおまかに分けると、次の3つがあります。

【ハウスメーカー】
・全国規模で知名度が高い。住宅展示場に出展していることが多く、完成イメージをつかみやすい。
・工場で大量生産された部材を使用し、一定の品質を確保。耐震実験をするなど性能の数値化にも強い。
・商品化されたプランが中心で、工期が短く効率的に進む一方、素材や間取りの自由度は限られることが多い。
・オプションを追加したり規格から外れるとコストアップにつながりやすい。
・設計・施工・アフターサービスをトータルサポート。営業専任スタッフも在籍する。

【設計事務所】
・建築家個人や事務所の作風と依頼主の思いを掛け合わせて計画する。相性や価値観の一致が重要。
・デザインや間取りの自由度は非常に高く、個々の暮らしを深く読み解いた提案が受けられる。
・設計・監理を一貫して担い、図面通りの施工が行われているか現場をチェックする。建て主の代理人のような存在。
・打ち合わせを何度も重ねるため設計期間は長くなりやすいが、その分納得のいく家づくりにつながりやすい。
・予算に応じて設計を進めるが、施工は別の工務店に依頼するため、工務店との金額調整が必要になる場面もある。
・自然素材を重視する事務所もあれば、工場生産品を積極的に活用する事務所もあるため、事前に特色を知ることが大切。

【工務店】
・地域密着型で、規模も特色もさまざま。地域の職人との距離が近いことが強み。
・計画の自由度が高い工務店も多い一方、ハウスメーカーのように規格化されたプランで建てる工務店もあり、選択肢の幅が広い。
・建物の規模や仕様により工期は異なる。
・個々の状況に合わせて柔軟なコスト対応が可能。
・設計‧施工‧アフターサービスをトータルサポート。
・自然素材や手作りにこだわる工務店から、工場生産品主体の工務店まで幅広く、実績や得意分野を知り、自分に合った工務店を選ぶことが大切。


どこが正解ということはありません。
皆さんの大事にしたいことは何だったでしょうか?
それらを実現するには何を優先すれば良いと思いますか?

家は、ある程度仕様や形が決められた中から選びたいでしょうか?
それとも何もないところから「パートナー」と一緒につくりあげていきたいでしょうか?

「コストやスピードを最優先にしたい」
「何よりもまず安心感が欲しい」
「自然素材にこだわりたい」

どれも間違いではありません。

「自分たちが大切にしたいこと、優先したいことは何か」という視点を念頭に置いておけば、おのずと絞られていくでしょう。

家づくりはチームです。
建主、設計する人、職人さんたち、現場を監督する人など、さまざまな役割を担った人たちでつくりあげていくものです。そして建て主である皆さんは、そのチームを選ぶことができます。

ですから、どうか焦らず自分たちの感覚でパートナーを探してみてください。

皆さんが一生付き合いたい!と思えるようなパートナーに巡り会うことを心から願っています。